胃袋が小さくなる話

人間とは凄いのだ。

食べる量が少なくなると、

胃袋も小さくなるようだ。

柔軟だ。

 

そう考えてみると、だ。

人間の欲の大小は身体的な能力に

比例するのではないか。

 

食べられるから食べたい。

SEXできる力があるからしたい。

眠れるから寝たい。

 

そう考えると、人間の欲の大きさはその人間の力の大きさに比例するのか?

 

人間の七欲と言われる、食欲、色欲、睡眠薬、金銭欲、物欲、権力欲、名誉欲。

 

最初の三欲は、間違いなくその人間の持っている力に比例する。

では後の四欲はどうか。

 

いずれも「知る」ことがきっかけで芽生え、むくむくと成長する。知、というものは残酷だ。その甘さを知ることさえなければ、取り憑かれることなどないのに。一度味を知ると、その味をもっと求めようとする。もっと上質な味を知ろうとする。それが身を持ち崩すことに繋がることさえあるのに。

 

四欲は、人間にとって試練なのかもしれない。あるものは己の欲の大きさに追いつくように力を鍛え、あるものは己の欲の大きさに取り殺されてしまう。

「知る」ことが簡単になった今の世では大きくなってしまった欲の大きさに追いつくためにもがき追いついたものは欲を満たし、逆に欲の大きさに追いつけなかったものは、欲の奴隷に成り下がり、自分すら喪ってしまうのだろう。

 

欲を禁ずることを生業にする聖職者は、四欲はおろか、七欲全てを身の丈に合わせる、むしろ現実主義者の集合なのかもしれない。欲を弱め、俗世の追い求めるものを諦める時、彼らだけの八欲目を満たすのだろう。

 

昔、人事職を行なっていた私は、

 

「欲が強い」と採用される人

「欲が強すぎる」と落ちる人

 

いずれも目の当たりにしてきた。

 

欲を目標や目的に置き換え、

現状の自分とのギャップを埋めにいくことができるか、身の丈と欲とのGAPを埋められる人を求めていたということなのかもしれない。

 

自分はGAPを埋められるのか。

やるしかないな。